学校長メッセージ

すべての人とつながる生き方を

 17世紀半ばのイギリス。未曾有(みぞう)の混乱の時代は、権力を持つ者、地位の高い者、お金を持っている者がそうでない人々を圧迫する不平等な社会でもありました。真実の交わりを求めた青年ジョージ・フォックスは、「魂に語りかける神の内なる声のなかにこそ真理は見出される」と考え、やがてその教えは多くの共鳴者を生み、フレンド派(クエーカー)と呼ばれるようになります。一人ひとりの人間は「内なる光」「神の種」を宿すかけがえのない存在なのだという確信から、フォックスの後継者たちはアメリカ合衆国(ペンシルヴァニア州)に渡り、いつわりのない民主的な社会を建設しようとします。
 普連土学園はこれらの人々の信仰の上に設立されました。新渡戸稲造、内村鑑三ら信仰の先達(せんだつ)の祈りに支えられた「普連土女学校」の働きは、女子教育の必要が顧みられなかった時代に、新しいニーズを生み出していきます。

 普連土学園の生徒には、ぶれることのない確かなものさしを持ち、変化し続ける社会のなかでほんとうの意味で貢献できる大人に成長していってほしいとねがっています。目の前のハードルをクリアする実力をつけるのはもちろんのこと、それをはるかに上まわる真の実力を養うこと。その実力とは、自分だけが勝ち抜いて他者を苦しめ悲しませるようなものではありません。それは、数字ではけっして表すことのできない貴い愛の力なのです。普連土という表記には、地上の世界のすべての人々とつながって生きてほしいという先人の祈りがこめられています。自分の頭で考え、自分の足で行動し、高いコミュニケーション能力をもって対話を続けていく――私たち教職員は、そのような人材を育てることの出来る最良の場を整えようと全力を注いでいます。
 どうぞ私たちの普連土学園で学び、この不安定な社会を力強く生き抜いていく、愛に裏打ちされた力を培ってください。
学校長
普連土学園校長
青木 直人