普連土学園での教育

2018.3.13 卒業生の今
弁護士(99回生 1992年卒業)
迎田由紀さん

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 みなさま、はじめまして、99回生の迎田と申します。

 私は、国際交流や英語教育に力を入れている普連土時代の環境や大学での留学経験が基礎となり、大学卒業後は外務省に入省しました。そこで、微力ながらも、主に日米外交の一端を担うことができました。その後、30歳を機に司法試験を目指し、今年で弁護士となって10年となります。企業法務や一般民事・家事、刑事事件など、国内外のお客様からの法律相談も含めて幅広く業務を行っています。

 先日、受験生・保護者向けの学園主催学校イブニング説明会に参加させていただく機会がありました。事前にいただいたお題が「普連土学園での教育が今の生活にどう生きているか」というものです。その際、依頼をいただいた浜野教頭先生から、「近年、女子校は人気がない、ミッションスクールであることもさほど評価されない、キャリア教育にも力を入れ、変動する社会で生き残る力をアピールする私立校に評価が集まる傾向がある」と伺いました。

 しかし、先生は、同時に、「普連土の卒業生は、時代の変化にかかわらず社会の色々な場面で人と協力して生きていく本質的な生きている力を養っているように思う。相手の価値を認めつつ、耳を傾け協力する姿勢を持つこと、また、仕事に正直に誠実に取り組むことが自然に身についていることが、人からの信頼を受けるのにつながっているのではないかと多くの卒業生から感じている点である」という趣旨のお話も伺いました。

 なるほど、先生のおっしゃるとおり、同級生をはじめとする卒業生を思い返してみると、人を押しのけてまで勝ち残ることを目指すのではなく、高い共感力と誠実さ、謙虚さをもって人と関わろうとする姿勢を大切にしている人が多いことに気づかされました。実際私も、弁護士として最も大切にしていることの一つに、傾聴があります。

 そこで、自分なりに普連土の教育理念を考えてみました。俗に言う言葉一言でいえば、普連土の教育理念の根本は、「豊かな『人間力』の形成」ではないかと思います。人格が作られる多感な時期に、正直かつ誠実であること、共感力をもつこと、そして謙虚であることの大切さは、学園の中で折にふれていろいろな形で教えていただき、これらは、不十分ながら、自然と身につけてきたものだと確信しています。これらの姿勢は、いくら時代が変わろうとも、社会の中でしなやかに、自分らしく生きていく上で非常に重要な力となるもので、時代を生き残る技術のみを教える学校では、決して身につかないものではないかと思います。