教育理念・沿革

学園沿革

 普連土学園は1887年(明治20年)、フィラデルフィアのキリスト教フレンド派の婦人伝道会によって派遣されたジョーゼフ・コサンド、サラ・コサンド夫妻によってその基(もとい)が据えられました。これは当時アメリカに留学中だった新渡戸稲造(日本人初のクエーカー)と内村鑑三(無教会主義の創始者)の慫慂(しょうよう)によるもので、140年近くにわたりキリスト教による人間形成を教育基盤としてきました。
 校名の「普連土」という漢字は、学農社の創設者であり青山学院創設者の一人でもある農学者 津田仙(津田塾大学の創設者 津田梅子の父)により「普(あまね)く世界の土地に連なるように」という祈りをこめて考案されたものです。
教育の様子

フレンド派(クエーカー)とは

 フレンド派は17世紀半ば、イングランドのジョージ・フォックスにより、湖水地方で誕生しました。ピューリタンの流れの中でも、とくに会衆主義といわれる自由と平等を重んじる気風を最も徹底して追求した教派で、クエーカーという別称もあります。
 クエーカーは歴史的平和教会とも呼ばれるように、フレンド派の人々は歴史的にさまざまな平和運動や奉仕活動に従事してきました。1947年にはその活動の功績が認められ、アメリカ・フレンズ奉仕団とイギリス・フレンズ協議会がノーベル平和賞を受賞しています。
George Fox
George Fox
(1624-1691)

教育理念

 私たちの学園は、ジョージ・フォックスの言葉“Let Your Lives Speak”をモットーに、あらゆる権威・伝統からの「自由」、神の前での「平等」、粘り強い「対話」、絶対的「平和主義」という普遍的な価値観を共有する共同体です。
新渡戸 稲造
新渡戸 稲造
(1862-1933)

沈黙の礼拝

 神は私たち人間をかけがえのない存在として愛し、一人ひとりのこころに直接語りかけると信じ、フレンド派の人たちはそれを「内なる光」“Inward Light”と呼びました。 私たちの一日は、毎朝の20分の礼拝をもってはじまりますが、これが学園のあらゆる営みの核になっています。とくに「沈黙の礼拝」は、神からの「内なる語りかけ」(自己の思い込みを捨て去り、他者からの語りかけ)に耳を澄ます大切な時間です。

目指す人間像

 普連土学園は、自ら考え、自ら道を切り拓き、自らの責任で行動し、深く学ぶ場です。そのような日々の営みによって、生徒一人ひとりが、あらゆる隔ての壁を超え、世界中の人々と連帯出来る国際的な感覚と異質なものに対する寛容な態度を養い、時代の価値観を常に相対化しつつ、よりよい社会の構築に貢献するために、培った力を他者のために惜しみなく使う、誠実で成熟した人間に成長してほしいと願っています。

恩人 エスター・B・ローズ先生の言葉

 普連土学園(FRIENDS SCHOOL)は、キリスト教、特にクエーカーの精神に基づいて、若き女性がより高い人格の完成を目指して学ぶところです。17世紀半ば以来、クエーカーとも呼ばれる友会徒(FRIENDS)は、万人のうちに"神"、すなわち"真理の種子"が存在するという確信によって、神と人、人と人の関係を育ててきました。したがって教育の働きは、この各人に与えられた尊い真理の種子─賜─を育てることにあります。私達は、生徒が豊かな個性を伸ばしつつ、知恵においても、肉体においても健やかにたくましく成長し、神にも人にも真に愛され、世の役に立つ人となることを念願しています。
 この学校をお選びくださるご家庭は、「すべての人間に対する尊敬の念」、思想、言語、行動における「誠実さ」、および生活上の「簡素」という徳性がお嬢様方のうちに成長していくよう、またこれらの徳性が物質万能主義を遠ざけ、人生にとって永続的な価値のあるものに、時間と精力を捧げるための原動力となるものであることを体得できるよう、学校と共にご協力くださると信じています。
エスター・B・ローズ
エスター・B・ローズ
(1896-1979)
1896年米国フィラデルフィア市生まれ。1921年インディアナ州アーラム・カレッジで理学士取得。1921年から1960年、普連土学園へ奉職の傍ら、戦争中はアメリカン・フレンズ奉仕団(AFSC)の一員としてカリフォルニア州の邦人抑留キャンプで奉仕活動・邦人の待遇改善等に専念した。戦後はAFSC日本支部長としてララ物資を通じて困窮した日本人の生活を援助した。